ストーカーの心理
先日の荻上チキさんのラジオ番組、セッション22(TBSラジオ)では、ストーカー問題について、ゲストを交え、メディアで取り上げられ方や、そもそも、ストーカーとはなんなのか、を議論、語られていました。
ゲストとして、吉田豪さん、そしてNPOヒューマニティの理事長、小早川明子さんが出演し、それぞれの分野での意見を述べられていました。
吉田さんは、今回シンガーソングライターとしてイベントを開くなどの活動をしていた女性が、そのファンに刺されて重症を負ったことについての、マスコミでの報道について、その見解を述べられていました。
そもそも、重症を負った女性は、女優として活動し、その延長としてCDも出したけど、基本的にはシンガーソングライターとして活動していた、という事実をもっときちんと報道しなくてはいけないんじゃないか。
地下アイドルや、いわゆる大手のアイドルとの対比にもっていったり、ファンとの距離感の近さが危ないのではないかという方向に、マスコミは報道したいのではないかという感じがあったそうです。
そして、このような、個人で活動する方たち(例えば、ストリートなどで、ライブやったり、それこそマネージャーがいないで、いろんなことを自分でやる方たち)は、危険にさらされる可能性が高いようです。
これは、後半の話に結びついていくんですが、ファンの中には、あるいはもっと広い範囲で、私たちの周りには、ある一定の "危ない方たち"が存在する、ということ。
それは、私も含まれるかもしれません。なにかのきっかけで、だれかを非常に深く関心をもつことや、被害妄想を脹らませる、これは、もう、自分でどうにかできる問題ではない。
ここで、ストーカーの心理について、小早川さんがお話してくださいました。
ストーカーとは、ブレーキのきかない車のようだと。
自力では、止めることがもはやできない。自分で気づくこともできなければ、人から指摘されても、もちろんわからない。
小早川さんが理事長を務めるNPOヒューマニティでは、まずは被害者からの相談を受け、弁護士やさまざまな連携をもとに、その加害者とも向き合い、最終的には加害者の心理を解きほぐし、ストーキングをみずからやめるという方向にもっていくことを目標とするもの。
ストーカーとなってしまう人は、たとえ、犯罪をおこし、被害者から訴えられ、例えば刑務所にはいったとしても、根本的に自分のその気持ち、ストーキングすることがいけないことである、あるいは相手はもう自分のことが嫌い、関心をもっていないということが理解されていないと、また、同じ犯罪を起こす可能性が高い、ということ。
したがって、小早川さんたちは、まさに薄皮を一枚ずつ剥がすように、その加害者に、その思いが間違っていること、多くは相手はまだ自分に関心がある、好意をもっていると思うことは勘違いである、ということを、被害者との連絡役のように、確認しながら、カウンセリングしていくようです。
ここで、チキさんが、
「でも、その加害者は、小早川さんの言葉を信じてもらえるんですかね、例えば、その自分が関心を持っている人が、そんなこと、言う筈がない、とか。」
小早川さんは、その問いに対して、自分を信頼してもらえるように、そのセッションの間、私は嘘をつかない人間であるということを、ちゃんとわかってもらうようにしていらっしゃるとのことでした。
これは、カウンセリングの基本だと思いますが、まず相手との信頼関係を構築していなければ、このようなセッションはそもそも成り立たないですよね。
ストーカーの問題は、深いです。これは、単にアイドルとか、オタとか、そういう問題で片づけてはいけないようですし、恋愛、上司部下、家族間、ご近所、とにかく対人関係があるところは、問題が発生する素地があるそうです。
心理を学んでいく上で、この問題も避けて通れないものでしょうね。
また、いろいろ本を読んだり、学んでみたい課題です。