私の脳はこれからが本番?
2018年が幕を開けました。
昨年末に買った本、「成熟脳 :黒川伊保子著」に激しく同意というか、ウーンそうだったのかみたいな、感動を覚えました。
つまり、今年が私にとって、ドンピシャの年、つまり"56歳" になるのです。
タイトルからして、興味津々となり、すぐ購入しました。
以前、同じく黒川さんの著書で「夫婦脳」をちらっと立ち読みしたことがありました。
「夫婦脳」より「成熟脳」により興味をそそられたのは、私が今年56才になるということと、最近の私が、特に記憶について、感じていたことへの答えというか、脳科学的に理由があるということが書かれてあったから、です。
私の脳はどうなってしまったの?
放送大学に入学して、ほぼ一年。なので、55歳で入学したんですが、とにかく覚えることが難しかった。まずは、通信教育自体の仕組みや、やり方なと、例えば科目選択や、単位のとり方なども何度も手引き書を読んだり、自分でいろいろ書いてみたりして、なんとかその仕組みを理解しようとするんだけど、調べてもすぐ忘れてしまう。
実際に科目の勉強をする段になって、教科書を読んでも、さっぱりわからない。
本を読むことは大好きだったし、心理学の分野の一般書も読んだこともあったんですが、(このブログにも読んだ本のことは一部書いていますが)教科書に書かれてあることがとても難解に思えました。すんなり頭に入ってこない、というのが正直なところでした。単位認定試験があることも、きちんと記憶を定着させないと試験に合格できないと本当に焦りまくりでした。
脳の機能の変化
本をよんで、私の脳の機能がこの55歳からかわりつつあったこと、そして今年の56歳から、いままでとは違う脳の機能がメインとなることなどを知ることができ、安堵もしたし、それなら、やはりその機能が最大限に発揮されるような脳の使い方を知っておくべきだと納得しました。
前々から、 脳を装置として見立てると、脳は56歳で出力性能最大期を迎えることがわかっていた。無駄なものを捨てていくのが、脳の最大のテーマであることも。
この本の「はじめに」で書かれていることです。
出力性能最大というのは、どういうことか。
本の中では、きっぱりと年齢で区切って、脳の役割を説明しています。
まず、ヒトの脳を装置として見立てたばあい、
人生最初の28年間、脳はいちじるしい入力装置なのである。
ここで、入力装置としてのピークとは、
ヒトの脳を、「新しいことをすらすら覚えられる」
状態。
そして、29歳から56歳までの第二ブロックは、
膨大な数の回路の中から、要らない回路をより分け、必要な回路を知るための28年間
となり、
特に重要なのは、要らない回路を見極める作業
であると、述べられている。
さらに、
その要らない回路を見極めるために不可欠なエクササイズが「失敗」なのである。・・・
つまり、失敗の数だけ、人は、失敗しにくく、判断に迷わなくなる。失敗が心に痛いほど、脳への学習効果は大きい。失敗は、脳をよくするために、人生でもっとも有効な入力なのである。
ここで、50代からの記憶の方法として、本ではあたらしい語学の学習は、繰り返すことが肝要だと述べられています。おもしろいのは、
このとき、本人の脳は「繰り返し」だと思っていない。これが50代のすばらしいところだ。ほぼほぼ新しい経験に思えるので、同じ「知」に何度も楽しく出逢えるのである。とはいえ、かすかに経験が重なっていくので、いつかは定着する。・・・
50まではできなかったことを手にするのである。いまさら急ぐこともない。しかも、人生は、まだ半分残っている。時間はたっぷりある。
ここの部分は、私自身が勉強していて、こんなことやったっけ!?と、何回でも思ったことで、少し前に読んだことが、初見のような感覚に襲われていたからです。そのたびにショックを受けるというより、なにか、そのたび、新しく知ったこととして、なるほどーっと、感動しているんです。そんなことを繰り返すうち、脳の中に定着していくという経験をしているからです。端からみると、ものすごく効率が悪くなっている状態かと思いますが、ここでかつての子育て時期や、仕事をいくつも掛け持ちしていたころに比べ、格段に時間がある、ということが効いてきます。食事を作ったり、家事をする時間を最大限に減らすことが可能となり、時間は自分のことに使い放題。もちろん、それは、そのようにもう、自分のことに時間を目一杯使おうという仕組みを作っておくことが必要ですが。
50代の脳
50代の脳とは、
脳が十分に、「失敗しにくく、成功しやすい」状態になってくる。
・・・・
そして、あらゆる成功に使われる、共通の回路。最高水準の優先順位を誇るそれこそが、成功の秘訣、「本質」の回路である。56歳近くなると、その回路が目立ち始める。
・・・
30代の惑い(失敗事例の蓄積)と、40代のいらだち(成功事例が増えてくるものの、周りの理解が足りない)を乗り越え、脳は50代に本質を知る。
ただ、人生の達人といっても、脳は、世間でいう「いい人、気高い人」のありようなど知ったことではない、と。繰り返しの達人になるわけだから、「ネガティブの達人」「卑屈の達人」「何もしない達人」のような装置を作り上げてしまうと、その装置の本質はもう変わらないことになってしまう。
なので、「56歳を過ぎた困った人には、できるだけ関わらないことだ。・・・つまり相手にせず、気にしないことだ。」と書かれています。
今の私が知るべきことと、学び方
今年56歳になる私の学び方はどうすることがいいのか。
今回55歳の年から放送大学に入学し、また私生活でも、母の認知症に向き合うことになった、ということが、偶然とはいえ、大きな転換期となったことは確かですし、その時期と、私の脳が、この本による「成熟脳」の始まりであったことを知ることができたことは、大変な収穫です。
自分の脳という装置を客観視し、その特性にあった学びがあることを知ることで、どうせわすれるんだから、記憶する学びはもうできない、とへんに悲観的になることもないし、あきらめることはない、ということですね。
繰り返すことを苦としないこと、時間をかけることに罪悪感をもたず、楽しんで、何度もテキストを読み返すこと、理解を深めるために、書き出してみたり、あきらめないこと。
また、人との相互作用が脳への大きな刺激となることも書かれてあったことから、ただ単に本や放送授業だけでなく、多くの人たちと会うこと、柔軟な気持ちで話をすることなど、幅広い学びを続けることかもしれません。
本では、さらに、60代以降の脳について、そして寿命がつきるまでの長い旅の終焉と、また、ちょっとそのあと(つまり脳の機能が終わったあとの、今度は次の段階にも言及されています。ここはちょっとファンタジーぽくって楽しい。
今年後半には、卒業研究という、おおきな課題が待っている私にとって、なにより、時間を味方につけて、忘れることをそんなに気にせず、忘れたら繰り返すこと。そして、出力すること(学習したことを、どんどん、書き記す。話すことなどなど)をすることで形づくることを目標としていきましょう!!